Yahoo!ニュース - 琉球新報 - 新基準の申請、県内ゼロ 法改正後の建築確認
新基準の申請、県内ゼロ 法改正後の建築確認
この度の改正建築基準法のような、事実上運用不可能な法律が施行されることがあっていいのであろうか。
種々の経済的損失に対する補償を、どこに求めるべきかといえば、国以外にない。
この改正は、言うまでもなく姉歯元一級建築士の所業に起因する一連の建築設計にかかわるスキャンダルに端を発する。
姉歯のような、数万人に一人出現した悪徳業者にあわせ、かくも大々的に法律を改定することには理解に苦しむ。
例えば数万人に一人程度の確率で出現する悪徳弁護士や行儀の悪い医者が、実際に存在することは、誰でも想像することが出来る。
仮にそのような弁護士の中から逮捕者が出たとして、だからと言ってすべての業者がかかわる法律を、たった一人の悪徳業者に合わせて改定するのは果たして是であろうか?
そう、このたびの基準法の「改定」を、決して「改正」などと呼ぶべきではない。明らかに改悪であるからだ。
この改悪の副作用として、じわじわと、しかし確実に、この国の経済に停滞をもたらすことは明らかである。将来的に設計を志す若者は減り、建設技術・耐震技術は進歩をやめ、建築設計者から創造性は奪われ、やがてこの国はつまらない建物で埋まっていくだろう・・・。
あるいはそれこそが役人にとっての理想の姿か?
設計実務を知らず、新しいものを忌み嫌う役人主導により、想像力の乏しい国会議員の下でこのような立法がなされたことが残念でならない。
構造設計と建築生産にある程度精通した人間からすれば、一連の耐震偽装のスキャンダルなど、もし姉歯というただ一人の極悪人がいなければ起こりえなかったことは明白なのだ。
世間で悪者に仕立て上げられていた木村建設、ヒューザー、イーホームズの三者は、どちらかといえば姉歯をかばっていた立場であり犠牲者ともいえるのだ。そしてそれは我々にとって、明らかであったのに、それを世間に訴えることの出来る発言力のある構造設計者が存在しなかったのは、我々にとって不幸であった。
さて、愚痴をこぼしても始まらない。
前を向いて生きていかねばならない。
しかし建築設計を継続する、という選択肢のプライオリティは既に相当下がっている。
建築以外に向かって、前を向いて生きていくとしよう。